N先生からの説明2007/04/07

17時ごろにN先生から話があるということで、あーちゃんの病室に行く。
この日は、他の病院への外出からまだ戻られていなかった。

18時、食事が来ちゃったねと思っていたら、N先生到着。

じゃあ、ナース・ステーションで説明をということで、移動する。
途中、あーちゃんが「あ、電池が切れた」という。

実はあーちゃんは難聴のせいで、左耳はほとんど聞こえず、右耳に補聴器をつけているのだ。
(同じ病室の人のいびきは、補聴器つけなくても、「うるさい」というくらいだから、静かなら聞こえるはずだけど。)

この補聴器の電池が切れたらしい。
普段、予備を持っているはずだが、この日は切らしてしまっているようだ。

「あんた、聞いといて。」

家族への経過説明と聞かされていて、自分が当事者と思ってないので、平気でそんなことを言う。

「私、電池買ってきます。」
今日を逃したら大変とばかりに売店に走ろうとすると、N先生が、
「どこへ行くんです?」
「売店にありますよね?」
「もう閉まってますよ」

困った顔をしていると、N先生があーちゃんを自分の目の前に座らせて、はっきりした声で説明しはじめる。

・「骨髄異形成症候群(MDS)」とは、血液の病気であること。

・骨髄の中では、「白血球」、「赤血球」、「血小板」が作られていて、 これらはそれぞれ、「感染予防」、「酸素運搬」、「止血」を司っているが、病気で出来損ないができるために、数が少なくなってしまい、免疫低下や貧血を引き起こすこと。

・放っておくと、いずれは「白血病」つまり血液のガンになること。

・MDSの治療方法は4つ。
 1)支持療法: 輸血。足りなくなったら、補っていく
 2)G-CSF、エリスロポエチンという薬剤を使用して、少なくなった白血球・赤血球を増やす
 3)化学療法(抗ガン剤): 悪くなったら、たたくという繰り返しになるので、根治にはつながりにくい
 4)骨髄移植: 唯一、根治が望める治療法
  ・ただし、大量の抗ガン剤・放射線を使用し、成功率は50%
  ・年齢は、推奨は55歳迄(それ以上は、言葉は悪いが実験的になる)
  ・兄弟姉妹でのドナーが見つかる確率は25%

 1)~3)は病気とつき合ってゆく方法で、根治は4)しかない。

・治療を選択する上で、他の病院(C病院を含め、7つくらいの大病院の名が挙がる)にセカンド・オピニオンをとることもできること。
また、唯一、高齢者でも積極的に移植を実施している病院「Rセンター」があり、担当はM先生であること。

D病院では、60歳以上の移植例はあまりないそうだ。

その他、感染予防の手段として、
・うがい/手洗いをする
・マスク(できれば家の中でもつける)
・ほこりっぽいところには近寄らない

退院後の諸注意をして、説明は終わった。
N先生は、予後の説明はしなかった。

「先生、ありがとうございました」

病室へ戻ると、ちょっと疲れた顔をしていたあーちゃんは、ぽつんと
「もう帰りな」
という。

「ちゃんとご飯食べてね」

考える時間が必要だろうと、今日は一緒に食べないで帰る。

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患者さんや担当医師によっては、異なる場合があると思われますので、
ご注意ください。